金儲けのための医療しか考えていないところもある

最近減っている本当の「善意の医療」とはどんなものか?

ところが会計窓口でもらった領収書の病名欄に、「脳腫瘍」などと書かれていたとしたら……。患者はわが目を疑うに違いない。こうして病名を使った不正請求も防げるはずである。医師の裁量と善意。それだったら、レセプト並み領収書はいいことずくめではないか。ところがこの問題はるっと複雑である。なるほどレセプト病名を巧みに利用した不正はこれで防げるが、同時に患者にとってプラスになる医療サービスまで潰してしまう危険があるのである。

医療現場では患者のためにレセプト病名を操作することが日常的に行われているし、医療関係者ならその事実を知らないものはいない。もちろん厚生労働省も知っているし、審査支払機関も知っている。つまり「不正行為」は日常化しているということである。ただし現場の医師たちはそれを不正とは一切思っていない。不正ではないが大声で言える話でもない。つまり医師の裁量の範囲内の微妙な話、ということである。

片や審査支払機関や健保・国保組合、さらにその後に控える財界や厚生労働省などが、そうした行為を以前から苦々しく思ってきたことも事実である。不正かどうかは解釈の問題だが、ここでは好意的に解釈して「善意の医療」と呼ぶことこしよう。「善意の医療」の具体的な例をいくつかあげてみる。たとえば高血圧や糖尿病患者に対する頭部CT検査である。これらの生活習慣病患者にとって、最も恐ろしいのが脳梗塞や脳内出血の発作だ。そのため多くの病院が、ハイリスクの患者に半年から1年に一回の割合で頭部CT検査を実施している。いわば予防的な検査である。


では従来のような「善意の医療」は今後どうなるのだろうか。財界や財務省が用意している答えは「混合診療」である。今まで混合診療という言葉をたびたび使ってきたが、説明は省いてきた。混合診療とは、保険診療と自由診療の組合せのことである。保険診療は言うまでもなくわれわれが日常的にお世話になっている制度だ。

かかった医療費のすべてが公的医療保険の対象となり、その7割が保険から、残り3割を患者本人が負担する。問題は、公的医療保険がカバーする診療の範囲である。世の中に医療行為として、あるいは医薬品として認められているものは数多くあるが、それらすべてが公的医療保険の対象となっているわけではない。たとえば近視の治療法として世界的に普及しているレーシックは、保険対象ではない。

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